ハウスメーカーのサイトや展示場では、鉄骨の会社も木造の会社も「地震に強い」「暖かい」と説明しています。そのため、鉄骨と木造で何が違うのか分かりにくくなります。
地震への強さは「耐震等級」で比べます。ただ、耐震等級3どうしでも、証明の有無・施工・地盤・地震後の傷み方で差が出ます。他にも木造か鉄骨かで違いが出やすいのは、費用・断熱・間取り・税金です。
我が家はセキスイハイムで注文住宅を建てた共働き夫婦です。木造の会社2社とも打ち合わせをしたうえで、鉄骨のユニット工法を選びました。
この記事では、鉄骨と木造の違いを項目ごとに解説します。耐震等級については、熊本地震の国のデータをもとに「耐震等級3どうしで何が違うのか」を説明します。
セキスイハイムで建てた我が家の実際も合わせて紹介していきます。
- 鉄骨と木造の構造と工法の種類
- 鉄骨と木造の違いの一覧表
- 耐震等級3どうしで差が出る5つのこと(熊本地震のデータから)
- メリット・デメリットと、費用・断熱など項目ごとの違い
- 向いている人と、迷ったときに確認したいこと
鉄骨と木造の違い|構造と工法の種類
「構造」は、柱・梁・壁など、家の重さや地震・風の力を支える骨組みを、何の材料で作るかの区分です。住宅には木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)があります。
「工法」は、その骨組みをどう組み立てるかの違いです。同じ木造でも、柱と梁で組むか、パネルの面で支えるかで工法の名前が変わります。
木造の主な工法
木造には、柱と梁(横に渡して、床や屋根の重さを受け止め、柱へ伝える)で組む「在来軸組工法」、パネルの面で支える「ツーバイフォー工法」、柱と梁を金物で強く接合する「木造ラーメン工法」などがあります。
林野庁の森林・林業白書によると、2022年に建てられた木造住宅のうち、在来軸組工法が78.8%、ツーバイフォー工法が19.1%で、この2つでほとんどを占めます。

- 在来軸組工法:柱と梁で骨組みを作り、筋かいや合板で補強する。日本の木造住宅でいちばん多い。例:タマホーム、積水ハウス(シャーウッド)
- ツーバイフォー工法:木の枠に板を貼ったパネルで、床・壁・天井の「面」で支える。例:三井ホーム、一条工務店
- 木造ラーメン工法:集成材の柱と梁を専用の金物で強く接合し、壁の少ない大きな空間を作る。例:住友林業(ビッグフレーム構法)、工務店のSE構法
鉄骨の種類と主な工法
鉄骨は、まず使う鋼材の厚さで「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」に分かれます。厚さ6mm未満が軽量鉄骨、6mm以上が重量鉄骨です。
そのうえで、骨組みの組み立て方(工法)が分かれます。

- ブレース工法:鉄骨の柱と梁を、斜めの筋かい(ブレース)で補強する。軽量鉄骨で使われる。例:積水ハウス、ダイワハウス、パナソニック ホームズ(制震鉄骨軸組構造)
- ラーメン工法:柱と梁を溶接などで強く一体にし、筋かいを使わずに支える。重量鉄骨で使われる。例:ヘーベルハウス、パナソニック ホームズ(重量鉄骨ラーメン構造)
- ユニット工法:工場で箱形のユニットを作り、現場で組み立てる。
例:セキスイハイム、トヨタホーム
※会社名は、各社の公式サイトで確認した例です(2026年10月時点)。同じ会社でも、商品や階数によって工法が違うことがあります。
比べるときは「鉄骨か木造か」だけでなく、工法まで確認すると話がかみ合いやすくなります。
セキスイハイムの鉄骨系で、ユニット工法です。柱と梁を溶接で一体にした鉄骨の箱を工場で作り、現場で組み合わせています。セキスイハイムはこの箱の骨組みを「ボックスラーメン構造」と呼んでいます。
鉄骨と木造を比べるときは、工法の名前まで聞いておくと話が整理しやすくなります。
鉄骨と木造の違い
一般的な傾向を表にまとめると、次のとおりです。会社や工法によって当てはまらないこともあるので、目安として見てください。
| 項目 | 木造 | 鉄骨 |
|---|---|---|
| 耐震 | 耐震等級3が取れる | 耐震等級3が取れる |
| 断熱・気密 | 木は熱を伝えにくい | 鉄が熱を伝えやすく、断熱の工夫が要る |
| 間取り | 工法によって壁の位置に制約が出る | 柱の少ない大空間を作りやすい。ユニット工法は配置に制約 |
| 費用 | 抑えやすい | 高くなりやすい |
| 工期 | 会社と工法で幅がある | ユニット工法は短い |
| 防音 | 床や間取りの作り方しだい | 床や間取りの作り方しだい |
| 火災保険 | H構造(省令準耐火ならT構造) | 耐火性能でT構造かH構造 |
| 耐用年数(税法) | 22年 | 19〜34年 |
| 固定資産税 | 下がりやすいと言われる | 下がりにくいと言われる |
| シロアリ | 防蟻処理と再処理が必要 | 柱や梁は食べられない |
「耐用年数」は税金の計算に使う年数で、家に住める年数ではありません。「T構造・H構造」は火災保険の区分で、T構造のほうが保険料が安くなります。
木造か鉄骨かで差が出やすいのは費用・断熱・間取り・税金です。地震への強さは、構造の種類より等級と施工で決まります。
耐震等級3どうしで何が違う?|熊本地震のデータから
地震への強さは、国の住宅性能表示制度の「耐震等級」で比べます。鉄骨でも木造でも同じ基準で、1〜3の3段階です。
- 等級1:建築基準法の最低ライン。数百年に一度の大地震(震度6強〜7程度)で倒壊しない
- 等級2:等級1の1.25倍の地震の力に耐える
- 等級3:等級1の1.5倍の地震の力に耐える。いちばん上の等級
では、どちらの会社も「耐震等級3」と言うなら、何で比べればいいのか。手がかりになるのが、国土交通省がまとめた熊本地震(2016年)の被害の分析です。
| 2000年6月以降に建てた木造住宅 | 無被害 | 軽微〜中破 | 大破・倒壊 |
|---|---|---|---|
| 建築基準法レベル(301棟) | 60.1% | 33.6% | 6.3% |
| 耐震等級3(16棟) | 87.5% | 12.5%(軽微・小破) | なし |
耐震等級3の木造住宅は、16棟のうち14棟が無被害でした。木造でも、等級3なら大きな被害はほとんど出ていません。
一方で、倒れた家の原因を見ると、木造か鉄骨かとは別のところに理由がありました。
- 木造:柱と土台をつなぐ金物が今の基準どおりでなかった、地盤のくずれ、隣の建物の衝突、シロアリの被害
- 鉄骨造:地盤や擁壁のくずれ、隣の建物の衝突、柱と梁の溶接の不良
報告書は、建築基準法が求めているのは大きな地震で「倒れないこと」で、「損傷しないこと」までは求めていないとも書いています。
ここから、耐震等級3どうしで差が出るのは、次の5つだと分かります。
①証明があるか|「等級3」と「等級3相当」
「耐震等級3相当」は、会社が自社の計算で等級3と同じくらいと言っているもので、第三者の評価機関による証明がありません。証明がないと、地震保険の耐震等級割引が受けられないことがあります。
セキスイハイムは耐震等級3が標準で、長期優良住宅の認定も受けています。
②設計どおりに作られるか|金物と溶接
熊本地震で倒れた新しい木造住宅の多くは、柱と土台をつなぐ金物が基準どおりに付いていませんでした。鉄骨造では、溶接の不良がありました。どちらも、図面ではなく現場の施工で起きた問題です。
工場で作る割合が高い工法ほど、現場でのばらつきは出にくくなります。木造でも鉄骨でも、施工中の検査を誰がいつ行うかは聞いておくと安心です。
ユニット工法なので、柱と梁の溶接は工場で行われています。セキスイハイムは、重要な柱と梁をコンピュータ管理の溶接で一体にしていると説明しています。
③地盤|等級は建物だけの目安
耐震等級は建物の強さの目安で、地盤のくずれや液状化は含みません。強い家でも、地盤が動けば被害が出ます。地盤の強さは、土地を決めて地盤調査をするまで分かりません。
④倒れなくても傷むか|揺れの抑え方
等級は「倒れないか」の目安で、揺れのあとに壁紙が破れたり窓が傷んだりするかまでは表しません。揺れを吸収する制震ダンパーや、外壁などで揺れを抑える仕組みは、この傷み方に関わります。
⑤強さを保てるか|シロアリ・サビと点検
熊本地震では、シロアリの被害で倒れた木造住宅もありました。建てたときに等級3でも、シロアリやサビ、雨漏りで骨組みが傷めば、強さは保てません。定期点検とメンテナンスの内容も比べる材料になります。
シロアリを避けたかったのは、我が家が鉄骨を選んだ理由の1つです。
耐震等級3どうしなら、木造か鉄骨かより証明・施工・地盤・傷み方・メンテナンスで差が出ます。
鉄骨のハウスメーカーどうしで、揺れの抑え方や標準の断熱等級がどう違うかは、鉄骨ハウスメーカー6社を比較|違いと選び方をわかりやすくにまとめています。
木造のメリット・デメリット
- 建築費を抑えやすい
- 木は熱を伝えにくく、断熱しやすい
- 地域の工務店も含めて、選べる会社が多い
- 固定資産税が下がりやすいと言われる
- シロアリ対策と、定期的な再処理が必要
- 現場で組み立てる部分が多く、職人の腕で仕上がりに差が出やすい
- 工法によっては壁を抜きにくく、間取りに制約が出る
- 火災保険は、省令準耐火にしないとH構造になる
木造は会社の数が多いぶん、性能や価格の幅も大きくなります。同じ木造でも、気密の高さや耐震の考え方は会社ごとに違います。
木造は費用を抑えながら性能を選べるのが強みです。会社ごとの差が大きいので、性能の数字を確認して比べます。
鉄骨のメリット・デメリット
- 工場で部材を作るので、品質が安定しやすい
- 柱や梁がシロアリに食べられない
- 柱の少ない大空間を作りやすい
- 耐火性能が高ければ、火災保険が安くなる
- 建築費が高くなりやすい
- 鉄が熱を伝えやすく、断熱の工夫が必要
- 建物が重く、地盤改良が必要になることがある
- 固定資産税が下がりにくいと言われる
- 建てられる会社が大手ハウスメーカー中心で、選択肢が少ない
鉄骨は品質の安定とシロアリへの強さが強みで、費用と断熱がデメリットになりやすい構造です。
項目ごとの違い|我が家の実例つき
断熱・気密|鉄骨は寒いと言われる理由
「鉄骨は寒い」と言われるのは、鉄が木よりずっと熱を伝えやすいからです。鉄骨の会社は、断熱材の入れ方などでこの弱点をおぎなっています。
断熱の性能は「断熱等級」、家の隙間の少なさは「C値」で比べます。C値は小さいほど隙間が少なく、気密を売りにしている木造の会社には、1を大きく下回る数字を出しているところもあります。
断熱等級6(7段階の上から2番目)で、窓は3枚ガラスです。C値は1.98で、気密を売りにしている木造の家にはかないません。
それでもエアコンは5〜10分で効き、効きで困ったことはありません。
鉄骨住宅の断熱等級については、断熱等級6の鉄骨ハウスメーカーは?標準6でも5になる理由に詳しく書いています。
間取り|鉄骨でも工法で自由度が変わる
鉄骨は柱が少なくても強度を出せるので、大きな空間を作りやすいと言われます。木造も、在来軸組工法なら間取りを変えやすい一方、ツーバイフォー工法は壁で支えるぶん、壁を抜きにくくなります。
ただし鉄骨でも、ユニット工法は工場で作った箱を組み合わせるので、箱の区切りをまたぐ配置はできません。
20畳のLDKと夫婦それぞれの書斎は、希望どおりに取れました。一方で、次の5つはユニット工法の都合で変えられませんでした。
- 浴室の向き
- 階段の向き
- インナーバルコニーの位置
- 床下収納の場所
- 土間収納の段差
経緯はセキスイハイムの後悔ポイント|住んでわかった本音にまとめています。
費用|鉄骨は高くなりやすい
一般的に、鉄骨の家は木造より建築費が高くなりやすいと言われます。鉄骨は材料そのものが高く、建物が重いぶん地盤改良が必要になることもあります。
比べるときは坪単価ではなく、同じ間取り・同じ広さの総額で比べないと差が分かりません。
建物総額は3,892万700円(36.48坪・2026年1月時点の資金計画書)で、値引き5本・合計474万1,000円が入ったあとの金額です。外構の195万8,000円は含みません。地盤改良はゼロ円でした。
内訳はセキスイハイムの値引き548万|見積もりと総額を公開で公開しています。
工期|ユニット工法は短い
工場で作る部分が多いほど、現場の工期は短くなります。木造でも壁のパネルを工場で作る会社があり、工期は会社と工法でかなり違います。
工期は、建てている間の今の住まいや仮住まいの家賃に関わります。
我が家の場合、工事が始まってから引き渡しまで、約4か月でした。
防音|「鉄骨はうるさい」は主に賃貸の話
「鉄骨はうるさい」という声の多くは、軽量鉄骨の賃貸アパートの話です。戸建ての場合、音の伝わり方は構造より、床の作りや間取りで変わります。
我が家では、2階の足音や生活音は、今のところ気になっていません。階段の下にトイレがありますが、足音は聞こえても気にならない程度です。
火災保険|T構造かH構造かで保険料が変わる
火災保険の保険料は、建物の構造でM構造(マンションなど)・T構造(耐火・準耐火の建物)・H構造(それ以外)に分かれ、T構造はH構造より安くなります。
木造は基本的にH構造ですが、住宅金融支援機構の基準を満たす「省令準耐火構造」にすると、木造でもT構造になります。鉄骨の戸建ては、耐火の性能によってT構造かH構造かが決まります。
耐用年数・固定資産税|建てたあとにかかるお金
国税庁が定める住宅の耐用年数は、木造が22年、鉄骨(金属造)は骨組みの鉄の厚さで19年・27年・34年です。これは税金の計算に使う年数で、家に住める年数ではありません。
| 構造 | 耐用年数 |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 金属造(骨組みの鉄の厚さ3mm以下) | 19年 |
| 金属造(3mm超4mm以下) | 27年 |
| 金属造(4mm超) | 34年 |
固定資産税は、建物の評価額をもとに毎年かかります。評価額は年数がたつほど下がり、その下がり方は総務省の固定資産評価基準で、木造と非木造(鉄骨など)に分けて決められています。鉄骨は骨組みの鉄の厚さでも変わります。一般に鉄骨のほうが下がりにくいと言われますが、家ごとに違うので、建てる会社や市区町村に税額の目安を聞いておくと安心です。
新築の住宅には固定資産税を一定期間2分の1にする減額があり、一般の住宅は3年度分、長期優良住宅は5年度分です(2026年3月31日までに新築した住宅の場合。期限は税制改正で変わるので、市区町村で確認してください)。
シロアリ|鉄骨は柱や梁が食べられない
木造の家は、建築基準法で、地面に近い土台などの木材にシロアリ対策をすることが決められています。薬剤の効果は5年ほどとされ、5年ごとの再処理を保証の条件にしている会社が多いです。
鉄骨の家は、柱や梁が鉄なのでシロアリに食べられません。ただ、床や内装には木材も使われているので、まったく関係ないわけではありません。鉄骨には、サビへの対策という別の手入れもあります。
鉄骨が向いている人・木造が向いている人
- シロアリの心配を減らしたい
- 品質の安定と工期の短さを重視したい
- 大きなLDKなど、柱の少ない空間がほしい
- 建築費が上がっても、構造の安心感を優先したい
- 建築費を抑えたい
- 気密の数字(C値)にこだわりたい
- 地域の工務店も含めて、選択肢を広く持ちたい
- 固定資産税を抑えたい
鉄骨か木造かは、何を優先して、何を譲れるかで決まります。
鉄骨と木造で迷ったら確認したいこと
鉄骨と木造で迷ったら、同じ間取り・同じ広さで、次のことを各社に聞いてそろえると比べやすくなります。
- 耐震等級3は評価書の出る「等級3」か、「等級3相当」か
- 施工中の検査は、誰がいつ行うか
- 地盤調査はいつ行い、改良が必要なら費用はどれくらいか
- 揺れを抑える仕組みは何か。制震装置は標準かオプションか
- この間取りで断熱等級はいくつになるか。C値は測るか
- この工法で、できない配置はあるか
- 同じ間取り・同じ広さで、建物の総額と工期はどれくらいか
何社まで比べればいいかはハウスメーカーは何社見る?4社に資料請求した本音に書いています。
鉄骨と木造は、同じ質問を両方にぶつけると比べられるようになります。
まとめ|鉄骨と木造は優先順位で選ぶ
鉄骨と木造の違いを、我が家の実例とあわせて解説しました。
- 地震:耐震等級3どうしなら、差は証明・施工・地盤・傷み方・メンテナンスに出る
- 断熱・気密:鉄骨は鉄が熱を伝えやすい。気密の数字は木造の高気密住宅が上
- 間取り:鉄骨は大空間が得意だが、ユニット工法は配置に制約がある
- 費用:鉄骨は高くなりやすい。同じ間取りの総額で比べる
- 建てたあと:固定資産税は鉄骨のほうが下がりにくいと言われ、シロアリの心配は鉄骨のほうが少ない
どちらにするか迷ったら、上の質問を持って、鉄骨と木造の両方の会社に聞いてみてください。

